『 the Day of Judgment 』
『それでも奴とボクの道は決して交わる事はないんだよ。』
それでも、何故か心のどこかが痛む気がした。
優しい彼女は優しい涙を流しながら男の背中を見つめていた。
男はただそこで立ち尽くして、かつて肩を並べる事もあった男を思い出す。
その切り札は自分しか持っていないと思っていたのだ。
そしてそのカードは自分しか切ることができないと思っていたのだ。
「運命がカードを切り、私たちが勝負する。とはよく言ったものだね。」
男は自虐的に呟く。
彼が肩に銃弾を受けた時から、既にカードは切られていたのだ。
そして優秀な弁護士、優秀な検事。
そこにカードは揃いすぎるほど揃っていた。
・・・本当はお前も分かっていたんだろう?
「・・・泣いても・・・いいんですよ。」
は後ろからそっと巌徒を抱きしめた。
その時、巌徒は初めて自分が悲しんでいのだと気が付いた。
との体格差はかなりあるが、巌徒は大きな暖かさに包まれているような気がした。
それでも巌徒は涙を流す事は無かったが、一時の安息を得る事はできた。
「今日だけは・・・悲しんであげるよ。・・・豪さん。」